講師:難波和彦(建築家)
□Why 難波和彦 ?
今回のアーキフォーラムでは建築家の難波和彦氏をお招きします。
難波和彦氏は、希有な建築家です。長年続くハウスメーカーと建築家の棲み分けを他所に、一貫して「箱の家」というシリーズを作り続けているからです。デザインが消費されるこの時代に、消費されない建築の原型を生み出そうとする一連の活動は、実験と改良を繰り返す発明家のプロセスに似ています。あるいは淘汰と進化の瞬間を見定めようとしている生物学者のようでもあります。一つのシリーズで時間的にも量的にも想像を超えるところまで突き抜けようとする建築家像は、まさに孤高の存在と言えるでしょう。
今回の講演タイトルは「建築家は住宅で何を考えているのか」。本シリーズのテーマに直結する、興味深いタイトルを設定して頂きました。一般的な建築家の思考回路を総括するとも捉えられるし、自分自身の作品説明とも捉えられる、この両義的な問いかけがどのような話に展開していくのか注目です。
「箱の家」を選ぶ施主像とは?技術的でありながら生活者的である住宅とは?そして建築家が住宅を作る意義とは?氏にとって久方ぶりの大阪で、立体的な議論ができればと思います。(山口陽登)
□第6回講演:
建築家は住宅で何を考えているのか/難波和彦
□日時:2010年9月25日(土)
●講師プロフィール
・1947年 大阪生まれ
・1969年 東京大学建築学科卒業
・1974年 同大学院博士課程修了
・1977年 一級建築士事務所 界工作舎 設立
・1996年 一級建築士事務所(株)難波和彦+界工作舎 代表取締役
・2000年 大阪市立大学建築学科教授
・2003年 東京大学大学院建築学専攻教授
・2010年 東京大学名誉教授
●主な著書
・1989年 『現代建築の発想 ( 共著 )』( 丸善 )
・1991年 『建築的無意識』( 住まいの図書館出版局 )
・1999年 『戦後モダニズムの極北:池辺陽試論』( 彰国社 )
・2000年 『箱の家に住みたい』( 王国社 )
・2001年 『箱の構築』(TOTO 出版 )
・2006年 『箱の家 エコハウスをめざして』(NTT 出版 )
・2008年 『建築家は住宅で何を考えているのか ( 共著 )』(PHP 新書 )
・2009年 『建築の4層構造 サステイナブル・デザインをめぐる思考』(INAX出版)
・2010年 『難波研究室 活動全記録』( 角川学芸出版 )
・2010年 『建築の理:難波和彦における技術と歴史』( 彰国社 )
●主な受賞
・1992年 川口都市デザイン賞、新建築グッドインテリアデザイン賞
・1995年 新建築吉岡賞、住宅建築賞、東京建築賞、「健康な住まい」コンテスト優秀賞
・1996年 国立国会図書館関西館コンペ優秀賞
・1998年 住宅建築賞
・2000年 TEPCO「快適住宅コンテスト」優秀賞
・2004年 JIA 環境建築賞
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