講師:佐藤淳(佐藤淳構造設計事務所顧問/東京大学特任准教授)
□Why 佐藤淳 ?
佐藤淳さんは現在活躍する若手構造家の中でも最も有名な一人であるということに疑いの余地はないでしょう。特に昨年に石上純也さんがヴェネツィアヴィエンナーレにて金獅子賞を受賞した作品『architecture as air』には多くの人 が衝撃を受けたのではないでしょうか。この作品を含め、佐藤さんの関わった多くの作品からは「フロンティアスピリッツ」を感じ取ることができます。そこにたくさんの苦労や困難が伴っているのは容易に推察できるのですが、同時に佐藤さんは、上手に自分のやりたい方向へ問題を再解釈・再設定し、そこにある苦労や困難をそれ以上の「楽しみ」へと変換しているようにも思えます。しかし、それら「自分のやりたい方向」の事柄は、決して自己中心的に好き勝手なことをしているわけでもなければ、依頼主である建築家のわがままを助長するようなものでもありません。つまり、己の欲望のはけ口として建築を利用しているわけでもなければ、依頼主の要望を盲目的に建築化しているわけでもなく、ある一定の節度が備わっているようにも感じられます。このことは、今シリーズのテーマである「誰がために建築は建つか」という問いに対する佐藤淳流の答え方でもあるように感じられます。作り出される作品が先進性と独自性を有するものであり続けるのは何故か、といったことも含め、今回のアーキフォーラムでは、そんな佐藤さんの背景に鋭く迫ってみたいと思います。(満田衛資)
□第10回講演:
多様な素材による多様な形態を並列に見る/佐藤淳
□日時:2011年2月26日(土)
●略歴
佐藤 淳(さとう・じゅん)
1970 年 愛知県生まれ
1993 年 東京大学工学部建築学科卒業
1995 年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程卒業
1995〜1999 年 木村俊彦構造設計事務所
2000 年 佐藤淳構造設計事務所設立
2004〜2010 年 芝浦工業大学、慶應義塾大学、東京大学、東京理科大学非常勤講師
2010 年 東京大学特任准教授
●主な著書
「Vivid Tecnology」(共著,学芸出版社)
「20xx年の建築原理へ」( 共著,INAX出版)
「佐藤淳構造設計事務所のアイテム」(INAX出版)
●近年の受賞(建築家の受賞も含む)
2009 年 日本構造デザイン賞(地域資源活用総合交流促進施設)
2010 年 日本建築学会作品選奨(House YK/Islands)
2010 年 LEAF AWARDS 2010 最優秀賞(PLUS)
2010 年 ヴェネチアビエンナーレ金獅子賞(architecture as air)
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